海外情報誌_ARDEC

エチオピア 撮影:渋谷敦志/提供:JICA
(エチオピア 撮影:渋谷敦志/提供:JICA)

海外情報誌“ARDEC”について
 本誌は農業農村開発に関する世界の新しい情報を読者に提供し、海外協力への理解を深めていただくために、平成6年度から1年に3回、平成17年度から2回発行しているものです。
 ARDEC(アルデック)とは、本誌の発行所である財団法人日本水土総合研究所(The Japanese Institute of Irrigation and Drainage : JIID)海外農業農村開発技術センター(Overseas Agricultural and Rural Development Center)の略称ですが、農業土木技術者全体の情報誌として位置づけていることから、農林水産省、国際協力機構、緑資源機構、農業農村工学会、海外農業開発コンサルタンツ協会のご協力により編集を進めております。


カンボジア/提供:FIDR
(カンボジア/提供:FIDR)

世界の水資源と穀物生産

丸紅経済研究所
所長 柴田明夫

 21世紀は水を巡る争いが先鋭化する恐れが強い。地球は「水の惑星」と称され、地球上には14億km3もの水資源がある。ただし、地球上の水のうち淡水は2.5%にすぎず、その大半は極地などの氷や地下水である。我々が利用しやすい状態にある河川や湖に存在する地表水は、淡水のわずか0.3%だ。しかも、その分布は地域的にも、時期的にも偏りがある。水資源の配分は、石油や金属資源にもまして不平等なのである。
  一方、現在利用されている淡水の7〜8割は食料を生産するために利用されている。いいかえれば、食料生産には大量の水が必要とされるのだ。これまでの地球規模の食料予測モデルでは、水供給量の制約を考えていない。その結果、将来の食料供給は過度に楽観的なシナリオとなっているものが多い。
  最近は高まる将来の食料不安に対して、世界中で食料生産を拡大する動きが強まっているが、それは一方で、砂漠化や水源の枯渇など、地球上で新たな「水ストレス」をまねくことになる。この意味では、21世紀初頭の世界の食料生産は、「水」が最大の制約要因となることはまちがいない。

マリ 撮影:今村健志朗/提供:JICA
(マリ 撮影:今村健志朗/提供:JICA)


世界の水と食料

水資源と世界の食料生産

東京大学大学院 農学生命科学研究科
准教授 川島博之

アフリカの農業開発と水利用

国際協力機構(JICA)農村開発部
課題アドバイザー 西牧隆壮

アフリカの稲作の現状と課題

国際協力機構(JICA)
ウガンダ国派遣専門家 坪井達史
企画部 北中真人

中国の農業水利

(有)プラグマティカ
飯嶋孝史

インド農業における水事情と課題について

国際協力銀行(JBIC)開発セクター部
調査役 北田裕道


世界の協力機関が取り組んでいる課題や新しい技術についての、最新情報をお届けします。

ブルキナファソ 撮影:今村健志朗/提供:JICA
(ブルキナファソ 撮影:今村健志朗/提供:JICA)

ベトナムの少数民族「カトゥー族」の伝統織物を活かした収入向上活動

(財)国際開発救援財団(FIDR)
ベトナム事務所長 大槻修子

国際水管理研究所(IWMI)と水土の研究

近畿大学 農学部
教授 八丁信正

BOOK REVIEW

『世界開発報告 2008・開発のための農業―概観―』世界銀行著

FILM REVIEW

パーテンライ!! 〜南の島の水ものがたり〜
制作:虫プロダクション(株)

TREND

―JIIDから―
現地適正化技術開発交流セミナーの開催

「アジアモンスーン地域における農民参加型末端整備・水管理指針」の作成について

編集後記