海外情報誌_ARDEC

パプアニューギニア 撮影:今村健志朗 / JICA
(パプアニューギニア 撮影:今村健志朗 / JICA)


海外情報誌 “ARDEC”について
 本誌は農業農村開発に関する世界の新しい情報を読者に提供し、海外協力への理解を深めていただくために、平成6年度から1年に3回、平成17年度から2回発行しているものです。
 ARDEC(アルデック)とは、本誌の発行所である一般財団法人日本水土総合研究所(The Japanese Institute of Irrigation and Drainage : JIID)海外農業農村開発技術センター(Overseas Agricultural and Rural Development Center)の略称ですが、農業土木技術者全体の情報誌として位置づけていることから、農林水産省、国際協力機構、国際農林水産業研究センター、農業農村工学会、海外農業開発コンサルタンツ協会のご協力により編集を進めております。

フィリピン 撮影:大塚雅貴/JICA
フィリピン
撮影:大塚雅貴 / JICA

      東京大学名誉教授
      NTCコンサルタンツ株式会社 顧問 宮 毅

 地球人口を養うには、どうしても土壌が必要であるが、人間は、地球上の土壌をどのように扱ってきたのか。2011年11月28日、国連食糧農業機関(FAO)は、世界の土壌の4分の1が「著しく劣化している」とする調査報告書を発表した。土壌劣化とは、風食、水食、圧縮、塩類化、アルカリ化、酸性化、汚染などによる土壌の物理性、化学性、生物相の劣化をいう。世界全体で劣化の程度が大きかった土壌は全体の25%で、劣化の程度が中程度だったのは44%。「改善されている」土壌は10%に過ぎなかった。FAOのジャック・ディウフ(J. Diouf)事務局長は、「人類はもうこれ以上、必要不可欠な資源をあたかも無尽蔵であるかのように扱うことはできない」と述べた。
 人間は土壌なくしては生きられない。歴史を顧みれば、土壌が、肥沃な農業を可能にさせ、農耕と食料生産を発展させ、人間の文明を栄えさせた。しかしながら、土壌の恩恵を受けてきた人間自身が、土壌劣化の元凶でもあった。そして、現在も土壌劣化は進行中であり、一刻も早くその進行を食い止めるべきである。このことの重要性に鑑み、国連は2015年を国際土壌年と決定した。土壌は「地球の宝物」であると同時に、「科学の宝庫」でもある。人間と土壌との間に、持続的なパートナーシップを築くことが、いま、求められていると思う。

カンボジア 撮影:久野真一/JICA
カンボジア 
撮影:久野真一/JICA

人類を養う土壌


   ARDEC 企画委員長 松浦良和
   国立研究開発法人 農業環境技術研究所(NIAES)
   研究コーディネータ 八木一行
   京都大学 大学院 アジア・アフリカ地域研究研究科
   教授 荒木 茂
   鳥取大学 乾燥地研究センター
   特任教授 北村義信
   国立研究開発法人 農業環境技術研究所(NIAES)
   上席研究員 白戸康人
   国立研究開発法人 国際農林水産業研究センター(JIRCAS)
   生産環境・畜産領域 南雲不二男・中村智史
   農林水産省九州農政局 北部九州土地改良調査管理事務所
   所長 馬場範雪
   農業ジャーナリスト
   元共同通信社農業担当 釣田美加
海外および国内の農業・農村に関連する、新しい視点や情報をお届けします。
モザンビーク 撮影:谷本美加/JICA
モザンビーク 
撮影:谷本美加/JICA
BOOK INFORMATION
『日本農業における企業者活動』
─── 東畑・金沢理論をふまえた農業経営学の展開 ───
   高橋正郎著
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