―JIIDから―
農業農村開発における地球温暖化に関する高級セミナーの開催について


写真1 森田理事長の挨拶

写真2 セミナーを修了して

 JIIDでは、現在、地球温暖化が食料、農業、農村に与える影響とその適応策を検討するため、海外において2つの調査を実施しています。1つは、地球温暖化が灌漑施設に与える影響とその適応策を検討するための調査で、現在、タイ、ラオス、カンボジアにおいて実施しています。もう1つは、地球温暖化などによる洪水などの災害に対する対応能力の向上手法を検討するための調査で、ラオスとインドネシアにおいて実施しています。
  この一環として、JIIDでは、2010年2月17日.19日にかけて、「農業農村開発における地球温暖化に関する高級セミナー」を開催し、あわせて現地調査を行いました。
  2月17日のセミナーには、タイの王室灌漑局長、チュラロンコン大学工学部長、ラオスの灌漑局長を含めて、海外から6名が参加しました。日本からは、これらの調査の検討委員会の委員、農林水産省とJIIDをはじめ、調査の関係者16名が参加しました。
  セミナーでは、まず、JIIDの森田理事長から農業と農村における自然エネルギーの有効活用による地域の活性化策についての発表が行われました。また、海外から参加した関係者から、地球温暖化に対して各国が取り組んでいる活動などについて、JIIDからは先きの2つの調査内容についての発表が行われました。その後、地球温暖化による影響や適応策について各国でどのように取り組んでいくべきか、活発な討議がなされました。
  18日は愛知用水へ、19日は京都嵐山の土地改良施設を利用した小水力発電施設の現地調査を行いました。
  愛知用水では、事業概要の説明の後、水管理の操作室、東郷調整池の小水力発電施設、太陽光発電実験施設と幹線水路内のチェックゲートなどについて説明を受けました。この際、上水道、工業用水と農業用水に用水を常時提供するための水管理の難しさ、水質の保全、農家の経常賦課金と水道料金の関係、小水力発電や太陽光発電の効率などについての質疑応答が行われました。
  嵐山の小水力発電施設では、施設を管理しているNPOの嵐山保勝会から、施設の導入に至った経緯などについて説明を受けた後、小水力発電施設を見学しました。参加者からは、ゴミの撤去をはじめとする小水力発電の維持管理や小水力発電の構造などについて質疑が行われました。また、景勝地の嵐山と大堰川の美しい景観に、海外の参加者からは感銘を受けたとの発言がありました。

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