セネガル 撮影:今村健志朗/提供:JICA
(セネガル 撮影:今村健志朗/提供:JICA)

編集後記

 施肥(無機・有機肥料)21 億トン、反芻動物の家畜の胃袋のメタン醗酵18 億トン、家畜糞尿4 億トン、バイオマス燃焼7 億トン、水田6 億トン、農業・家畜のための森林伐採59 億トン、その他9 億トン、これが農業部門からの温室効果ガス排出量の二酸化炭素換算値です。この推計値を合計すると、人間の諸活動による年間排出量の約1/ 4に相当します。
  こうした数値を念頭に「温暖化抑制」をテーマとする自然科学者とジャーナリストによるパネルディスカッションを聴きに行きました。そこで意外な展開がありました。あるジャーナリストが、「目標とされる気温上昇を2℃以内に抑制の、2℃の妥当性が十分に論議されていないし、国民も科学的根拠を十分に提示されていない」と述べました。ある科学者がこう答えました。「そもそも2℃は、小学生の算数
で四捨五入を学べば、1.5℃から2.4℃まで幅広い数字で、極論すれば目標は2℃でも、3℃でも、いや1℃ でもかまわない。その議論に時を費やすより、抑制を実践すべき状況にある」彼は、つまるところ、自然科学というよりも、多分に規範的な課題であると、敢えて表明したのです。
  さて、「地球を冷ます」ために農業を排出源から吸収源に転じてゆくことが、21 世紀という時代の要請です。不耕起栽培、有機農法、アグロフォレストリーなどは、これに適合した農法といえそうです。近年では不耕起栽培のために、多年生の穀物(コメ・小麦・ソルガム)、飼料(ライ麦など)、ヒマワリの品種改良も進められているようです。

編集委員

委員長  堀井 潔
委 員  鈴木 博 馬目雄一 岩本 彰 

※画像は、国際協力機構(JICA)・著者から提供されたものです。
※写真撮影はバングラデシュが谷本美加、カンボジア、東ティモールが今村健志朗、 ルワンダが渋谷敦志、メキシコが篠原誠二の各氏で、いずれも提供は国際協力機構。
※スペース上の都合で紙媒体と電子媒体で画像などの構成が一部異なります。
※画像や文章はそれぞれの著作権者に属します。
※写真と本文は直接関係が
ない場合もあります。

メキシコ 撮影:篠原誠二/提供:JICA
(メキシコ 撮影:篠原誠二/提供:JICA)

前のページに戻る