―JIIDから―
「海外予防保全マニュアル」の作成について

 日本では既存の施設を有効に利用するため、施設の長寿命化を図る観点から、予防保全対策(施設の劣化が致命的な状況になる以前に適切な補修・補強等の対策を取ることで、施設の供用年数を効率的に延伸させる方法)への取組みが開始されています。
  東南アジアにおいても、今後、資金的な制約や環境保全の観点から灌漑区域を拡大する新規の灌漑排水事業の実施は、抑制的にならざるを得ないことが想定されます。このような状況のなかで、既存の農業水利施設には供用が開始されてから30年を超えるものが多数存在しており、増加する人口に対して安定的に食料を供給するためには、既存施設の長寿命化を図り、有効に活用することが重要になってきています。
  このことから、2006年度から08年度にかけて、過去に日本の協力により灌漑施設が設置されたインドネシアのワイジェパラ地区とラオスのタゴン農場地区において、農民への聞取り調査やコンクリート開水路の機能診断などの現地調査を実施しました。そして、それらの結果をふまえ、今年度、開発途上国自らが施設の計画的な補修・補強を推進するため、海外予防保全マニュアルを取りまとめました。

写真1 農民に対する聞取り調査(ラオス)
写真1 農民に対する聞取り調査(ラオス)

写真2 現地技術者との合同機能診断調査(インドネシア)
写真2 現地技術者との合同機能診断調査(インドネシア)

 マニュアルには、予防保全対策の概要をはじめ、施設管理者による日常管理、機能診断、ライフサイクルコストの算定方法など、予防保全対策を実施するにあたっての一連の流れを説明するとともに、海外の灌漑技術者が簡易に利用できるよう、JIIDが現地調査で利用した帳票などを掲載しています。また、予防保全対策は、その概念が導入されてから、まだ日も浅いことから予防保全対策に係る用語集やコンクリート施設の劣化状況の写真についても、参考としてマニュアルに掲載しています。
  マニュアルの構成は以下の通りです。
第1章 目的
第2章 予防保全の概要
第3章 日常管理
第4章 機能診断
第5章 劣化予測
第6章 対策工事
第7章 ライフサイクルコストの算定
第8章 対策シナリオの検討事例
  英語版、インドネシア語版、ラオス語版を作成し、JIIDのホームページ上にも掲載する予定です。

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