―JIIDから―
「水土の知を語る」シリーズ
『中国の農業水利』と『中国の村鎮建設』の発行

 JIIDでは農林水産省農村振興局の指導と補助のもと、農業水利分野について1981年から中華人民共和国(以下「中国」)水利部と、農村整備分野について1991年から中国建設部との技術交流を行っています。近年は、2年に1度お互いに相手国を訪問し、年ごとに決められた交流テーマに沿ったセミナーの開催および現地調査を行っています。

写真1 汪 水利部長(当時)による現地視察(日中農業水利交流会にて)
写真1 汪 水利部長(当時)による現地視察(日中農業水利交流会にて)

  この日中交流事業が開始されてから四半世紀が経過したことから、とくに最近の技術交流で得られた成果を総括する意味も含めて、日中農業水利交流事業および日中農村整備交流事業を当財団が出版している「水土の知を語る」シリーズの『中国の農業水利』、『中国の村鎮建設』の2冊に取りまとめました。
「水土の知を語るVol.12」の『中国の農業水利』は、現在の中国の農業水利事情、農業水利に関する政策の経緯について述べるとともに、中国における節水灌漑の取組み、日本の土地改良区に当たる中国の用水戸協会(場所によっては、用水者協会とも言われています)による農民参加型灌漑管理の取組みについて、現地調査の結果を踏まえて述べられています。また、2005年の技術交流において、李中国農村水利司長にご講演頂いた「中国農村水利の現状と展望」について掲載し、中国における現在の農村水利の課題や展望について取りまとめています。

写真2 「水土の知を語る」シリーズのVol.12とVol.13
写真2 「水土の知を語る」シリーズのVol.12とVol.13

「水土の知を語る Vol.13」の『中国の村鎮建設』は、まず中国における村鎮の位置づけと村鎮建設の目標を明らかにしています。というのも、中国の村鎮建設と日本の農村整備ではニュアンスが異なるからです。たとえば、中国の村鎮建設では農村部の市街地の整備に特化しており、農業振興に対する意識が日本のように高くはありません。そのような中で、本書では現在進められている中国の農村計画の特徴や農村政策の根幹としての農業基盤整備のあり方について述べています。また、中国農村地域における都市農村交流を手段とした農村振興が事例とともに述べられています。
 本書が中国の農業水利、農村整備についての理解を深めることに役立つことを願っております。

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