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絶滅が心配されるトノサマガエル

田んぼで生まれる赤トンボ

 

 どうして私たちは、何もいない川よりもメダカが泳ぐ川の方がいい、何もいない空よりも、赤トンボが舞う空の方がいい、何も聞こえない夜よりも蛙の鳴き声が届く夜がいいと感じるのだろうか。
 生きものが、毎年毎年、くりかえし、くりかえし生まれてくることに深い安らぎをおぼえるのだと思う。
 だから、メダカのいない川、トンボのいない空、蛙の鳴かない夜は不安なのである。
 何かが、くりかえせなくなっていると、感じるからだ。
(画像・文 宇根 豊)

編集後記

 ある環境雑誌に「村人とサルの水争い」の記事がありました。「ケニア北部で生息地を離れて水を求めるサルの群れと村人が、給水車からの水の配給が始まったときに争いが始まった。8頭のサルが殺され、村人も10人が負傷した。なお、このサルはかつて人など襲ったことがなく、まさに極度の水不足が原因である」と。世界にとって貴重な水ですが、あらゆる生物もいわば水の需要者に違いありません。
 さて、今号は思い切ってソフトな内容にしてみました。水、農業、食料をめぐって調和を見出す“まなざし”、そして調和を実現する“試み”を読み取っていただける事と思います。どちらも“効率”という数字には、なじまないものですが、じつは何かを定量化するその根底に横たわるものです。左の写真は村のどこにでもいた赤トンボとトノサマガエルです。執筆者のおひとり、宇根豊さんに拝借した“まなざし”です。

 

編集委員

委員長 茨城教晶
委員 井田充則 岩本 彰 新保義剛 吉武幸子

 

画像は、©ロレックス賞・国際協力事業団(JICA)・著者から提供されたものです。
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