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『環境・人口問題と食料生産』

渡部忠世 海田能宏 編著

農山漁村文化協会 刊行

 本書は1998年に、財団法人国際高等研究所の課題研究「環境と食糧生産の調和に関する研究―人類生存の視野から」として組織化された共同研究の成果である。
 突出した経済的地位を占める日本を反省しながらモンスーンアジアの可能性を、熱い思いを込めて模索し、またそこに日本の学ぶべき点も見出している。参考までに、序章の一部を紹介する。
―私たちが最も重視したのは統計ではなく、アジア(アフリカ)の農民たちの、いわば経験知の発掘と評価にあったといえる。たとえば農業技術(農法)、土地利用、生活、都市との相互関係など各般についてそれを探り、新しいアジア(アフリカ)的パラダイムを見つけ出すことにこそ、真の環境と食料生産の調和の未来がかかっているのではないかと考えた。

《目 次》

序章/第1章 アジアの特異性とその環境資源の特質
第2章 20世紀農業の光と影
第3章 新しい農業技術への期待と限界
第4章 世界とアジアの食料需給の分析
第5章 ケース・スタディーからの視点(1)
第6章 同視点(2)
第7章 複合的循環農業システムと「デサコタ」型農村開発
終章 
(本体価格2238円+税)



『開発援助の経済学』

西垣 昭 下村恭民 辻 一人 著

有斐閣 発行

 国民の生活向上を願うブータン国王と「秘境」の保全を願う外国人記者団との開発の是非に関するエピソードから本書は始まる。開発により、豊かな自然や温かい人情、貴重な伝統文化が失われ、現在より幸せで必ずしも望ましい状態になるわけではないが、現在の状態に止まっているならば生活条件の悪化は避けられないという途上国の人々が直面している深刻なジレンマに対し、先進国が「より望ましい形の開発を目指す努力」をどのように支援するか、わかりやすくまとめている。
「バランスの取れたODAの正確な全体像」を描くため様々な角度から光りを当てて正確な全体像を描いており、学生から研究者まで幅広い読者の疑問に応えられる一冊である。

《目 次》

第1部 貧困と開発と経済協力 「南」の人々の努力と国際協力、開発途上国支援の理念と戦略
第2部 ODAの基本的仕組み 世界経済の中のODA,国際機関の役割、国際援助社会の調整の仕組み
第3部 日本のODA 日本のODAの特徴、日本のODAの仕組みと実施体制、日本のODAのパフォーマンス
第4部 日本のODAのフロンティア 地球環境問題への取組み、貧困緩和と住民参加への取組み、NGO・NPOとの連携、国際社会への日本のメッセージとODA
(本体価格2400円+税)

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