2025.8 AUGUST 72号
特集│アフリカの食料安全保障

Contents
│特集│アフリカの食料安全保障
世界の飢餓人口は7億3,300万人に達し、世界で11人に1人、アフリカで5人に1人が飢餓に直面している。世界の農業・農村の開発を考える中で、とりわけアフリカの食料安全保障が重要な課題であり、世界の飢餓を克服する鍵となっている。本誌では、アフリカでの様々な取り組みについて幅広い専門家の視点で探っていく。
海外情報誌企画委員会 委員長 角田 豊
東京農業大学 名誉教授 (一財)ササカワ・アフリカ財団 顧問 板垣啓四郎
特集テーマに関連する各専門分野の有識者、先駆者などによる幅広い知見、最先端の取組などを紹介します。
Keynote 1
カンパラCAADP宣言とJICAのアフリカ食料安全保障イニシアティブ
独立行政法人 国際協力機構(JICA) 経済開発部 次長 藤家 斉
Keynote 2
東アフリカにおける農業機械の普及・戦略について ~コンバインの取組事例から~
株式会社クボタ 機械海外総括第二部 企画課 田中麻衣
Keynote 3
マダガスカルの養分欠乏水田に適した施肥技術および水稲新品種の開発と普及
国際農林水産業研究センター(JIRCAS) 辻本泰弘
Keynote 4
アフリカの食料安全保障と国連世界食糧計画(WFP)の取り組み ― 危機と希望のはざまで
WFP日本事務所 代表 津村康博
世界の農業農村開発や特集テーマに関係する団体・個人による実践的な取組や、現地・現場の動向などを紹介します。
REPORT & NETWORK
ADBによるラオス北部の農村インフラ整備・農業バリューチェーン開発とプロジェクト・マネジメント
日本工営株式会社 流域水管理事業本部 大塚恵哉
NTCインターナショナル株式会社 企画営業本部 副本部長 國安法夫
(前)独立行政法人 国際協力機構 経済開発部 技術審議役 北田裕道
アフリカにおける農業農村開発に向けた人材育成を目指した東京農業大学とアフリカ協定校との国際交流プログラム
東京農業大学 グローバル連携センター 子浦恵、フレデリック ムッサ、三原真智人
TREND 農業農村開発に関する国際スケジュール
本誌は、一般財団法人日本水土総合研究所が定期的に発行しているものです。1994年(平成6年)からARDECとして発行してきましたが、初刊から30年近く経過したことから、第65号から「世界の農業農村開発」に名称を変更し、紙面をリニューアルしました。
本誌発行の目的は、食料確保や貧困削減、環境・生態系保全などとも密接に関係する世界の農業農村開発の現状や課題を広くお伝えすることです。このため、学識経験者、政府機関、国際機関、民間会社その他団体等の皆様から関連する自然科学・工学・人文社会学的な知識や経験について、ご寄稿いただいています。主に海外の農業や農村に関する調査研究や取組について分かりやすく紹介したいと考えています。
当研究所は、1978年(昭和53年)の設立以来、日本国内や海外において農業農村整備に関する政策や技術、知見についての調査研究や情報発信に取り組んでいます。英語名称は「The Japanese Institute of Irrigation and Drainage」です。略称は英語名称の各単語の頭文字をとってJIIDとしています。
当研究所の調査研究や情報発信においては、「産・官・学・民」のネットワークを活用し、その知見を融合することを特徴としています。「産」は民間企業、「官」は国や地方公共団体といった行政機関、「学」は大学・高校や試験研究機関、そして「民」は農業用水や農地を管理する団体である土地改良区や農業者など、幅広い関係者との連携を目指しています。
農業農村整備とは?
農業農村整備は、水田や畑といった圃場での農業生産の継続や改善を目的として、①取水堰、貯水池、ため池、用水路、排水路といった農業水利施設を建設したり、今ある水利施設を改良したりする灌漑排水の整備、②圃場の区画を大きくしたり、平らにしたり、土壌の物理化学的性質を改良したりする農地の整備、③大規模自然災害に備えて農業水利施設や農地を強化したり、災害が起こった場合に復旧したりする農村の防災減災対策などを行うものです。これは、国内外における食料の確保や飢餓の撲滅に加え、農業者の所得向上、農村の持続的発展、自然環境の保全等に貢献しています。
表紙写真
「コメを収穫する女性(タンザニア)」