モザンビーク 写真提供:JICA/ 谷本美加
モザンビーク 
写真提供:JICA/谷本美加


編集後記

 「水」と「食料」、このいずれも人々が生きてゆくには欠かせないものです。「食料」の主要な供給源は耕地・放牧地・漁場といえますが、それぞれに限界がみえています。

 「漁場」は世界的に過剰漁獲の影響で資源量が減少しています。これに関しては、国連公海漁業規定(2001年発効)などの国際的協定がありますが減少を止めるには至っていません。 「放牧地」も過放牧が続き生産力が低下しています。さて、もっとも重要な「耕地」ですが、世界の耕地面積は拡大している一方で他用途への転用も多く、また土壌侵食もあって実質的にはほぼ横ばいとみられています。

 耕地のなかでも生産性の高いのは灌漑(かんがい農地ですが、これはまさに「水利用」にかかっています。世界的にみて人口稠密なアジアを支えてきたのは農業用水です。アジアの農業用水は世界の淡水使用量のほぼ半分をも占めています。
 水田という灌漑農地は生産性が高く、しかも環境とも共生できる営農形態を実現してきました。日本の稲作技術はおそらく最高水準にあるといえます。

 さて、世界の農業に目を転じれば「SDGsの目標:2 飢餓をゼロに」という大きな課題があります。国連食糧農業機関の『世界の食料安全保障と栄養の現状2020』によれば、2019年にあって世界で栄養不良状態にある人々は総人口の約9%に相当する6億9000万に及ぶと推定されています。

また、同報告書によればアフリカでは同地域の人口の約19%に相当する2億5000万以上が栄養不良状態に置かれ、これは2014年の18%弱から悪化しています。もちろん、日本とは気候風土が全く異なりますが、土壌や生態系への配慮、利水者組織による水管理、女性へのエンパワーメントなどレジリエントな農業の振興に加え、水資源の持続的な利用に向けての支援はSDGsの実現に貢献できるでしょう。


国内技術検討委員会

委員長  松浦良和
委 員  石島光男 國安法夫 角田 豊 八木正広 渡辺 守


編集委員会

委員長  渡部和弘
委 員  内村 求  中 達雄


いずれの委員会も氏名は五十音順


本誌は、一般財団法人日本水土総合研究所が農林水産省から受託している「令和2年度官民連携農業農村開発技術検討調査業務(国際交流)」の国内技術検討委員会が収集した情報をもとに発行しております。


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カンボジア 写真提供:JICA/ 久野真一
カンボジア
写真提供:JICA/久野真一


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編集 海外情報編集委員会


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