世界水フォーラム(WWF)の
国際社会における役割と日本の貢献

鳥取大学農学部生命環境農学科 教授 清水克之

1.はじめに

 水に関するノーベル賞といわれる、ストックホルム・ウォーター・プライズ(Stockholm Water Prize)の2006年の受賞者であるAsit K. Biswas氏は、水セクターのメガ会議のインパクトに関して、「メガ会議に参加した人数や国の数、あるいはかかった経費の額は、もはや会議の成功を評価する指標とは考えられない、という既存の暗黙の考えがある(Biswas、2009)」と述べている。しかし、主催者側からすれば、開催する以上は多くの人に参加してもらいたいと考え、そのために汗を流すのは極めて当然のことであろう。世界中から数万人が集まるイベントは、やはりニュースバリューが高いと思われるし、それだけの人を集めることができるコンテンツには意味がある。世界水フォーラム(World Water Forum、以下、WWF)は世界最大の水に関する国際会議である。

 日本人の多くがWWFを知るきっかけとなったのは、2003年に京都・滋賀・大阪で開催された第3回大会(WWF3)であることは間違いない。WWF1(1997年、開催地モロッコ、参加国63、参加者数500)からWWF2(2000年、オランダ、参加国114、参加者数5700)へと参加国、参加者数は大幅に増加したが、日本が開催国となったWWF3では、参加国183、参加者数2万4000と参加者数が2万を超え、WWFをいわゆるメガ会議に押し上げた。

 その後の大会でも2万−4万人超の参加があり、2018年の第8回ブラジル大会では一部のイベントに無料参加できるビジターも含めた参加者総数は実に12万人であった。マスコミを通じて、水問題が世界で議論されているということを、まずは一般市民に広く認知、理解してもらうのは重要である。また、さまざまな水問題の理解や対策の決定・実施といった各プロセスは容易に進むものではないので、単発ではなく、3年に一度の頻度で開催されることで、一過性のものではなく、課題には腰を据えて取り組むべきであることを広く理解してもらう必要がある。もちろん、大会中に限らず、課題の進捗状況などを常に発信する必要があるのだろう。

 WWFは、本来的には、その場で議論に結論を出したり、決定をしたりする場ではないと理解されている。とはいえ、「方向性」や「異論」を共有する場としての役割は大きい(渡邉、2016)。このような場を提供するのが、WWFの大きな役割の一つなのであろうが、ここではWWFの国際社会への役割について論じてみる。

 また、日本は京都大会で開催国となったが、それ以外にWWFに対してこれまでどのように貢献してきたのか、そして今後どのように貢献するべきなのかについても論を進めたい。ここでは、各大会の最終報告書、あるいは本誌のバックナンバーや水関連雑誌でWWFに関連する論説や参加報告を参考にして、WWFのこれまでの活動、とくに最近のWWF7、WWF8で議論されてきたことを振り返り、2022年に開催されるWWF9(セネガル・ダカール)の概要について紹介し、 WWFが目指す国際社会における役割と日本の貢献について議論する。ただし、筆者のバックグラウンドが農業農村工学であるため、主にその分野に関して論を進めることをお断りしておく。


2.世界水フォーラム(WWF)とは

 ここでWWFについて述べる前に、世界水会議(WWC:World Water Council)について触れておく。WWCは、国際NGOである。世界の水問題に対する国際社会の関心の高まりを受け、1996年に水の専門家や国際機関の主導で設立された。WWCのホームページによると、「WWCの使命は、地球上のすべての生命の利益のために、環境的に持続可能なベースであらゆる次元の水の効率的な保全、保護、開発、計画、管理、利用を促進するために、最高意思決定レベルを含むすべてのレベルで、水の重要な問題に対する認識を促進し、政治的コミットメントを構築し、行動を起こすことにある。」と記述されている。そのWWCの主な活動の一つがWWFである。

 WWF1は1997年にモロッコのマラケシュで開催された。以来、オランダ、日本、メキシコ、トルコ、フランス、韓国、ブラジルと3年ごとに、WWCが開催国と共同して参加者が数万人にのぼる世界最大の水国際会議を運営し、水に関する議論を深めてきている。WWFでは、各国の元首、大臣、政府高官から一般市民まで、世界中の水関係者が一堂に会する。WWFは、その開催規模の大きさと、大臣会合やハイレベル会合による宣言文書の取りまとめにより、国際社会の水議論の方向付けに大きな影響を与えている。

 事実、SDGs(持続可能な開発目標)の目標の一つに水と衛生を取り上げるよう積極的に働きかけたこともあり、SDGsの6番目の目標に設定された(山岡、2015)。また、SDGsには、水と衛生に関する目標のほか、水関連災害や水環境の保全など、水に関連する多数の目標が盛り込まれており、これらはWWFが果たした大きな成果である(日本水フォーラムHP)。


3.WWFのこれまで

 渡邉(2016)は、第7回までのWWFについて、以下のように簡潔にまとめているので紹介する。


 WWF1 は、中心課題は水道や衛生で、閣僚宣言も出されて、将来展望が形成された。第2回からは水関係の閣僚級会合が開催されるようになった。第2回では「世界水ビジョン」がまとめられ、水の安全保障、農業水需要の調整、水生産性の向上、貯水の拡大や水資源管理システム改善等が提案された。

 日本で開催されたWWF3からは、さまざまな関係者が会する場となった。WWF3では、水資源管理と成果の共有、安全な飲み水と衛生、食料生産と農村開発のための水、水質と生態系の保全、減災とリスクマネジメントに関する閣僚宣言がなされた。また、水道事業の民営化やコスト負担のあり方をめぐる議論が高まり、住民団体が意見を表出するなど、「フォーラム」らしくなり、またフォーラムのあり方の議論もなされた。

 2006年のWWF4では、それまでに整理されてきた課題を解決するための地域の具体的な行動が中心テーマとなった。さらに、2009年のWWF5では、問題に関わる「立場」の違いをメインテーマに、解決のための協働・協力や調整のあり方を中心に議論がなされた。そして、すべての国に対し、世界の水問題に対応する「地球規模の枠組み」の形成への参加を働きかける「イスタンブール宣言」がなされた。2012年のWWF6は、こうした議論の蓄積と取組を経ても問題解決が十分に進まないことを踏まえて、実際の解決をもたらすための議論にフォーカスが当てられた。2015年のWWF7は、問題解決に向けた取組が停滞することの常態化によるものか、問題の「基本認識」と対策行動の整理に重点が置かれ、一般的・概念的な議論に立ち戻った感があった。

 なお、WWF7では、次のような実施行程とそれをモニタリングする体制が作られた。

1. すべての人のための水の安全保障

 1.1 すべての人のための十分で安全な水と衛生

 1.2 すべての人のための総合的な衛生管理

 1.3 変化への適応:強靱(きょうじん化と災害に対する備えのためのリスクと不確実性の管理 

 1.4 持続可能な水資源管理とサービスのためのインフラ

2. 発展と繁栄のための水

 2.1 食料のための水

 2.2 水とエネルギー

 2.3 水と都市

3. 持続可能性のための水:人と自然の調和

 3.1 グリーン成長、ウォーター・ステュワードシップと産業

 3.2 水サービスと生物多様性のための生態系の管理と再生

 3.3 分水嶺(ぶんすいれいから沿岸までの水質の確保

 3.4 統合水資源管理(IWRM)の賢明な実施

4. 実現可能な実施メカニズムの構築

 4.1 革新的な投資のための経済と資金調達

 4.2 有効なガバナンス:政治的決断、ステークホルダーの参加、および技術情報の向上

 4.3 紛争の削減と越境水管理の改善のための協力

 4.4 水文化、公正と平等

 4.5 水教育の推進と能力向上



 2018年のWWF8の報告書によると、セッションのなかで、WWF7で定められた上述の16の実施行程の進捗状況に関する詳細な分析が報告された。WWF7以降、目標の61%が完了し、36%が進行中であり、合計すると進捗率は97%であった。

 WWF8では、①気候(水の安全保障と気候変動)、②人(水、衛生、健康)、③発展(持続的な生産のための水)、④都市(統合的な都市の水と廃棄物管理)、⑤生態系(水質、生計、生物多様性)、⑥資金(水の安全保障のための資金調達)という6つのテーマ、および①共有、②能力、③ガバナンスという3つのクロスカッティング・イシューが設定された。

 これらのテーマに対して、「政治家・行政と技術者・研究者間での対話の必要性(気候)」、「すべての人が水・衛生を享受する権利(人)」、「(重要な水利用者である)農業の水管理議論への参加機会の増加(発展)」、「統合的アプローチを実現するために都市が主役になること(都市)」、「自然環境が水利用者であること(生態系)」、「水のガバナンスへの投資とそのための明確な規制(資金)」、「すべての人を意思決定へ組み込む(共有)」、「長期的国際連携(能力)」などが確認された。


4.WWF9

 WWF9の開催案内によると、開催国であるセネガルとWWCは、WWF9を、「社会的、政治的、経済的レベルでのより効果的なフォーラム」、「水と衛生に関するコミットメントに関する行動の触媒となるフォーラム」、「SDGsのアジェンダ・プラットフォーム・コミットメント、 仙台防災枠組2015-2030、パリ協定、アジェンダ2063などと、結び付いたフォーラム」、「アフリカと世界の主要な水の課題に軸足を置いた世界的、地域的なフォーラム」とすることを目標として掲げている。また、WWF9では、市民参加をさらに促進し、市民がフォーラムの中核をなすようにするとしている。

 これまでのWWFは、テーマプロセス・政治プロセス・地域プロセスという3つの主要プロセスを含んでいたが、WWF9はこうした制度的な組織を一新している。これまでのプロセスのツールであるテーマ・政治・地域・市民を統合したうえで、「水の安全保障と衛生」、「協力」、「農村開発のための水」、「手段とツール」の4つの優先事項(Priority)を中心とした、世界的な影響力としても質の高い交流に焦点を当てている。なお、4つの優先事項の詳細は以下の通りである。

 WWF9の4つのテーマ

1. 「水の安全保障と衛生」の優先事項

 1.1 水と基本的衛生(便所と下水)に対する権利行使の保障と非常時における安全な水と基本的衛生設備へのアクセスの提供(6.1、6.2、1.4、11.1)

 1.2 水質と廃棄物管理の改善(6.3、11.6、12.4、12.5)

 1.3 水に関連した疾病と死亡の削減(3.9、3.3、3.2)

 1.4 沿岸や海洋への影響を含む生態系と森林の保護・回復および砂漠化対処(6.6、14.1、14.2、15.1、15.3)

 1.5 水生生態系における生物多様性損失と侵略的外来種侵入の阻止(15.5、15.8、15.9)

 1.6 気候変動や自然災害に対する回復力と適応力の強化(13.1、11.5、1.5、11.B、13.3)

2. 「協力」の優先事項

 2.1 あらゆるレベルでの統合水資源管理の実施(6.5)

 2.2 平和を促進し紛争を防止するための越境協力の実施(6.5、6.A)

 2.3 平和を促進するためのODAを含む国際協力と能力開発の拡大(6.A、17.2、16.A、10.B)

 2.4 水力発電を含む多目的インフラの協力強化(7.A、7.B、1.A、9.1、9.4、9.A)

 2.5 データや情報の共有と能力開発に関する南北・南南・三角協力の強化(17.6、12.8、16.10、17.9、17.18)

 2.6 外部セクターを含めたマルチステークホルダーの対話とパートナーシップの強化(17.16、17.17)

3. 「農村開発のための水」の優先事項

 3.1 農村部における水への普遍的なアクセスの確保(6.1、1.4)

 3.2 農村部における下水・衛生施設への普遍的なアクセスの確保(6.2、1.4)

 3.3  上水・下水・衛生施設の提供(学校、保健施設等)(4.A、5.1、4.5、3.3、3.9、6.1)

 3.4  水の生産性・効率、拡散性汚染やフードロスの削減を含む持続可能な農業の実践(2.3、2.4、12.3、6.3、6.4、6.6、14.1、14.2)

 3.5  農村コミュニティが水を通じた社会経済発展の推進力となるような組み込みと権限委譲(8.2、5.4、5.A、1.4、2.A)

 3.6  都市部への人口流入を抑制するための都市部と農村部との間の隔たりの緩和(11.A、10.7、11.3)

4. 「手段とツール」の優先事項

 4.1  追加的資金源の動員と革新的な資金調達の促進(17.3、2.A)

 4.2  参加型意思決定を含む良好な水ガバナンス原則の実施(6.5、6.B、16.7、5.5、17.18)

 4.3  水循環に配慮したアプローチを促進するための法律と規制(10.3、5.C)

 4.4  あらゆるレベルにおいて効果的で、説明責任があり、透明性のある制度の開発と公正性の促進(10.6、16.6、17.15)

 4.5  科学、技術、イノベーションおよび教育を通じた水の効率と持続可能な管理の改善(6.4, 12.2, 8.4, 17.7, 17.8, 5.B, 4.3, 9.5, 12.A)

 

 各テーマに優先事項という言葉をつけていることからも、具体的にやるべきことの優先順位を明確にすることで、迅速な行動を促そうという意図が読み取れる。また、大会のテーマはSDGsの目標6「すべての人に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保する」を中心にSDGsのすべての目標に幅広く対応していることがわかる。


5.WWFの国際社会における役割

 前述したように、SDGsには、水と衛生に関する目標のほか、水関連災害や水環境の保全など、水に関連する多数の目標が盛り込まれており、これらはWWFが果たした大きな成果である。このように国連の目標に組み込むように働きかけるには、単独の一機関ではなく、メンバーに多様性があり、かつ多くの人が集まる場所が必要で、それは世界最大の水関連会議であるWWFに他ならない。

 また、第7回大会以降、WWFはその後の3年間の活動のモニタリングと進捗状況の評価を行っている。これが進められれば、それはSDGsの水と衛生に関わる目標のモニタリングと評価になるので、今後のWWFでも適切に実行していくことが望ましい。

 日本でのWWF3以降、市民の参加が着実に増えており、WWF9では市民がフォーラムの中核をなすようにするとしている。しかし、参加費やパネル込みのブースの賃料が高額で、市民団体にとっては非常に大きな負担であった(渡邉、2016)。今後、より多くの市民の参加を目指すのであれば、WWFが、事前に審査して選ばれた市民団体に対して参加にかかる費用をある程度軽減するような措置が(すでに実施されているかもしれないが、)取られれば、市民団体がそれに向けて活動することが期待される。

 もう一つ大きな役割として、WWFは、その場の参加者だけでなく、世界に広く水問題を伝え続けなくてはいけない。他国の状況はよくわからないが、WWFは日本のマスコミにはあまり大きくは取り上げられたようには思わない。Nakayama and Furuyashiki(2009)は「世界的な」水会議の影響が、雨粒が水面に与える波紋のように世界の隅々まで一様に広がると想定することは非現実的であると述べている。WWCや関わった団体によるWWFに関する情報発信だけではなく、今後、さらに市民の参加が増え、彼らがSNS等を通じて発信することで、波紋がさらに大きく広がり、マスコミがそれに注目し、ニュースとして取り上げることで、かかわった人たちの活動の更なる動機付けになる好循環が生まれることを期待したい。


6.日本の貢献

 水問題といっても、それが多岐にわたることはWWFのテーマを見てわかるとおりであるが、筆者は農業農村工学分野の大学教員であるため、この点に絞って日本の貢献について論じる。

 資源や食料の多くを海外からの輸入に依存する日本にとっては、ODA(政府開発援助)を通じて途上国の発展を手伝うことで、世界の安定と平和につなげていくことは、ひいては、日本の国の利益にもつながる。人口問題を解決するべく食料を増産するために、大規模な土地・水資源開発が行われてきたが、このままでは食料を生産するために必要な水が足りないことに世界は1990年代に気づいた。現在、世界の水利用の約7割を占める最大の水ユーザーである農業セクターはその削減を迫られている。

 国際かんがい排水委員会(ICID:International Commission on Irrigation and Drainage)や国際水田・水環境ネットワーク(INWEP:International Network for Water and Ecosystem in Paddy Fields)の日本の関係者は、「WWFは水や水利施設さらには水田農業が有する価値を幅広い聴衆にアピールする絶好の機会(八丁、2006)」、「持続可能な経済発展や自由で民主的な社会の実現などの理想を掲げる欧米圏と、目先の社会経済の発展や治安の維持など現実を重視する非欧米圏の結節点としてバランスある議論と政策の実現に貢献するべき(山岡、2015)」、「優れた先進技術や水管理組織を有する日本が、その知見や経験を発信していくことは、世界の水利用に大きく貢献する(宇野、2016)」、「日本の水管理・水環境の進展を世界的に発信することは、世界的な責任(一般社団法人Com aqua/第8回世界水フォーラム市民ネットジャパン,2018)」、と述べている。これらの意見の背景にあるものは、2005年に開催されたICIDワークショップの要約にまとめられているので以下に紹介したい。


 水田やそのシステム、管理制度は、地域ごとの自然、社会・経済条件に対応して、長い歴史のなかで育まれてきたものであり、高い持続性を有している。これは食料生産という大きな役割に加え、環境保全、景観や文化を含む多くの役割や機能を果たしている。したがって、単に経済的合理性によって、食料の自由化を推進することは、輸入国の環境・景観・文化に悪影響を及ぼすだけでなく、場合によっては輸出国の環境劣化(地下水位の低下、土壌侵食、塩類集積)にもつながりかねない。多面的機能の発現を促し、持続可能なシステム(水利用、生産)を確立するためには、生産面では水の多目的利用(淡水魚・合鴨(あいがもなどの養殖、エコツーリズムなど)を推進し、また環境機能を高める農法や施設の整備(化学肥料・農薬の削減、環境配慮型水路、冬季の湛水(たんすい、水路や(め池の生態ネットワーク構築)を採用し、全体的な経済・環境・文化的価値を高める必要がある。この場合、複雑な水と環境や生態系との相互関係、地域の特性、時間的変動、弱者や女性に配慮した研究・調査を行い、その有効性や成果を一般市民や政治家などにアピールする必要がある。


 ICIDとINWEPは、WWF4において水田農業の多面的機能に関するセッションを開催した。アジアの水田農業国ではゆっくりとだが着実に理解を得られつつあることが、その後現在に至るまでのICIDでの関連ワークショップへのアジア諸国の参加から見て取れるが、非水田農業国の間では、まだ十分な理解を得られていないのではないかと考えている。一方で、2014年当時、WWC理事を務めていた山岡和純氏の発案によって、WWCとICIDが協力する形で、水に関するソフトの社会資本の価値を認定・登録する世界水遺産制度(WSH:World Water System Heritage Program)が創設され、WWF8において、日本からの2件(静岡県・源兵衛川と新潟県・関川水系土地改良区)を含む3件の認定が初めて行われた。このような取組を通じて日本の水環境・水管理の進展を発信していくことは、有効な情報発信の方法の一つである。

 また、WWFの運営に対する日本の貢献という点では、日本水フォーラムはアジア・太平洋水フォーラム(APWF)の事務局を開催国政府と共に務めてきており、アジア・太平洋地域のコーディネーター役として大きく貢献している。WWFでは大きく5つの地域に分けており、アジア地域は最大の地域であることもあり、アジア地域での確かなリーダーシップ、プレゼンスを示すことは非常に重要である。


7.おわりに

 筆者は2010年から、ICIDの国内委員会委員となってICIDに参加する機会を得ている。複数の作業部会では、一部会員として、あるいは一発表者として日本の灌漑農業の進展について情報発信を行っているが、2020年から新たにICIDのWWF9タスクフォースの委員を務めている。WWFでご活躍されている方々から受け継ぐべきものはしっかりと継承し少しでも発展させることで、来る2022年のWWF9に貢献したい所存である。

 


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