ジェスール(jessour)
沖積谷(ワジ)にほぼ一定の間隔で小規模な土堰堤をカスケード状に築き、各土堰堤の上流側に流出土砂を堆積させ、農地を造成して行われるチュニジアの伝統的集水農法である。
メスカット(meskat)
チュニジアのスース地方で、古代ローマ時代から現在に至るまで受け継がれてきた代表的な雨水集水農法で、オリーブの栽培に適用されてきた。
タビア(tabia)
ジェスールに似たシステムで、丘陵・山麓地帯のおよそ3%以下の傾斜地で適用される集水農法で、土堰堤の両側に側方堤防を築き、ときには上流側に流出水の導流堤を築くこともある。
シスタン(cisterns)
集水域からの流出雨水を貯留する地下タンクで、硬岩層の上に軟岩が存在するような地層を掘削して造る場合が多い。家畜群の飲用水確保に用いられる。
ハフィール(hafirs)
集水域からの流出雨水を貯留するために地面を掘削して造ったタンクで、主に家畜用水の確保に用いられる。
コンターリッジ(contour ridge)
緩やかな斜面に1.5〜2m間隔で等高線に沿って畝溝を築き、斜面からの流出水を集めて行う雨水集水農法である。
半月堤(semi-circular bund)
緩やかな斜面に半円(月)形の小堤防を等高線沿いに築き、斜面からの流出水を集めて行う雨水集水農法である。
流出帯法(runoff strips)
等高線に沿って帯状に作付け区と流出区を交互に配置し、雨水だけで足りない分を流出区からの流出で補充する雨水集水農法である。
カディン(khadin)
インドのラジャスタン州で見られ、流出水を堰堤で堰き止めて湛水し、冬作の作付け時期が来たら排水して池敷を耕起し、播種・栽培する農法である。
アハール(ahar)
インドのビハール州で見られ、貯水堰堤をなだらかな傾斜地に築造し、流出水を湛水して夏作にイネの深水種、湛水が排水した冬作にコムギなどが栽培される。アハール同士を水路(パイン:pyne)で連結し、水を融通し合う有機的な水配分が行われている。
カナート(qanat;国、地域によってカレーズ(kariz)、フォガラ(foggara)などとも呼ばれる)
地下水を耕地まで自然流下で導水する地下水路で、乾燥地における伝統的な地下水利用技術である。母井戸と地下トンネル、竪坑からなる。