1. 組織の沿革
(1) ICIDとは
国際かんがい排水委員会(International Commission on Irrigation and Drainage, 通称ICID)は、かんがい、排水、治水、河川改修分野で、水資源の開発・管理に関わる、科学・技術の研究・開発、経験、知見交流の奨励、促進を図ることを目的に、1950年に設立された非政府の国際団体です。大きくは、環境を乱すことなく、かんがい農業を中心とした持続的な農業生産の増強により、食糧不足、飢餓、栄養不足、農村の貧困緩和に寄与することを狙いとしています。研究・開発等の対応では、工学、農学に止まらず、経済学、生態学、社会科学及び行政・制度等広範にわたる最新技術の総合的な適用を図っています。 委員会設立の動きは1946年、インドで始まり、1950年6月、当初、「国際かんがい運河委員会」として、11の創設加盟国で発足しました。次いで、1951年1月、インド・デリーで第1回総会が開催され、憲章を最終決定し、名称を「国際かんがい排水委員会」としました。 |
(2)日本のICIDへの加盟
日本はICID設立直後の1951年(昭和26年)、当時日本にあったインド連絡使節団から連合国総合司令部を通して申し入れと、総司令部からの勧告を受けて、ICIDに加盟しました。この加盟は、戦後我が国が加盟したこの種の国際組織の最初のものであったとされています。
ICID加盟各国は、加盟のための基本単位として国内委員会を設立しています。ICIDは非政府組織(NGO)ですが、多くの国は政府が国内委員会を設立して加盟しており、また、政府として加盟していない国でも、政府並びにその関係者が国内委員会の運営・活動に深く関わっています。我が国は、前述の加盟の経緯から、政府として加盟しています。ICID日本国内委員会(以後日本国内委員会)の事務局は、農林水産省農村振興局整備部設計課海外土地改良技術室に設置されています。 |
(3)日本ICID協会の設立とその役割
日本ICID協会は、日本国内委員会の活動を支援するために、日本国内のかんがい排水に関する技術を有する法人及び団体、並びに個人によって、昭和59年4月に設立されました。事務局は一般財団法人日本水土総合研究所に設置されています。 歴代の会長は以下の通り、 本協会は「日本国内委員会と連携しつつ、ICIDの諸活動に積極的に参加し、その成果を活用して、我が国のかんがい排水に関する技術の向上を図るとともに、我が国の技術の海外への普及に資する」ことを目的にしています。具体的には、 (1) ICIDの諸活動に対する協力 (2) ICIDの諸活動に関する情報の提供 (3) 各国国内委員会との交流及び情報の交換 (4) 前条の目的を達成するために必要な事業 等の事業を通じて、日本国内委員会の業務を支援しています。また、委員会は会員に対して、会報、ニュースレター等によりICIDの行事、会議要旨、論文表題について情報を提供すると共に、ICIDに関わる情報だけでなく、一般的な海外技術及び事業情報を随時提供しています。 |
(4)「ICIDの日」
ICIDは1950年6月24日に創立されました。そのため、この日を「ICIDの日」としております。日本ICID協会の総会・理事会は、この日の前後に開催しています。 |